シチュー文に気を付けて

補助金案件の書類審査を担当したとき、お客様のビジネスプランやサイトコンテンツのドラフトを拝見する際など、
コンサルタントは文章作成を日常業務としない方が書かれた文章を読む機会がよくあります。
そこで気になるのが「シチュー文」です。

「シチュー文」とは、こちらが勝手に名付けたものなのですが、要は「こと」を多用した冗長な文を指します。
例として、2018年版中小企業白書概要より抜粋した文を改悪し、シチュー文にしてみます。

元の文

中小企業は大企業ほど、付加価値を向上させる「攻めのIT」に向けた取組は進んでいないが、「攻めのIT」の実施に向けた企業間連携を行っている企業は、連携を行っていない企業よりも従業員1名当たり売上の平均値が高かった。
(中略)
IT利活用により、労働生産性の分母である労働投入量も分子である付加価値も、それぞれ改善が可能であり、両者による労働生産性の向上が期待される。

改悪文

中小企業は大企業ほど、付加価値を上げる「攻めのIT」に向けた取組を進めることができていないが、「攻めのIT」を実施することを狙い企業間連携を行っている企業は、連携を行っていない企業よりも従業員1名当たり売上の平均値が高いということが分かった。
(中略)
ITを利用したり活用したりすることにより、労働生産性の分母である労働投入量も分子である付加価値も、それぞれ改善することができ、両者によって労働生産性が向上することが期待される。

いかがでしょう。
ことこと、ことこと……「こと」が多く、シニューを煮込んでいるかのようではありませんか。
個人的には、易しい言い回しが増えるほど「シチュー感」が増しますが、
元の文が「お役所」発のレポートで、漢語が多く硬い印象が強いため「こと」の印象が少し薄いかもしれませんね。

どうやら、丁寧な文章を書こうとしたり、内容に自信がなく文末表現を曖昧にしたかったりする際に、
つい「こと」を無駄に使ってしまう方が多いようです。
「~することで~となる」「~することができるようになる」「~することにつながる」といった表現には要注意です。
「この機械を購入することで、人員を減らすことができるようになり、コストも抑えることにつながると思われます。」なんて、
補助金申請書類にありそうですよね。

文章の分かりやすさ、読みやすさは内容の説得力向上に貢献します。
その動詞は本当に名詞化が必要なのか、「~すること」とする以外に名詞形はないのか、推敲の際にチェックするようにしてみましょう。

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